暖冬のせいでちっとも冬の気分がしない。イスタンブールの冬は、本来もっと寒くて雨や雪がしょっちゅう降ってじめじめと暗くて鬱陶しい毎日なわけで、歓迎されない季節ではあるのだが、ポカポカと春のような陽気はさすがに異常だ。「地球温暖化」の話題が商人たちの間でも交わされる。来夏は深刻な水不足に見舞われることまちがいなし、なんてちっとも嬉しくない予測を立てる人もいる。
暖冬でもやっぱり出現したのはサーレップという飲み物。白くてとろりとしてちょっと甘くてシナモンの香りと調和がよい。身体も温まる。
もうひとつの冬の飲み物はボザ。かつては住宅街にも夜な夜な売り声が響いたものだが、すでに絶滅寸前に近く、スーパーや専門店で細々と売られるだけになった。ノスタルジックな気分で飲んでみるのも悪くない。